法人の確定申告 Q&A
お答えします
頼めます。決算と申告書の作成だけを引き受ける事務所は多く、価格も顧問契約より低く設定されています。安いのは、日々の記帳と、年度の途中での相談が依頼の範囲から外れているからです。ここで気をつけたいのが役員報酬です。今期の額を決められるのは事業年度が始まってから3か月以内で、前期の決算と申告はその2か月目までに終わります。決めどきは決算のすぐあとに来ますが、その相談は「決算のみ」の範囲に入っていません。
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一解説
決算のみで引き受けてもらえるのは、たいてい次の範囲です。期末(年度末)の決算整理、決算書の作成、法人税と地方税の申告書の作成、消費税を納める法人ならその申告書の作成、そして電子申告での提出。ここまでを一式にして見積もる形が多くなっています。
入っていないことが多いのは、日々の記帳です。青色申告の承認を受けている法人には、帳簿書類についての義務があります。財務省令で定めるところにより帳簿書類を備え付けて取引を記録し、その帳簿書類を保存しなければならない、と定められています。決算のみの依頼では、この記録の部分がそのまま自社に残ります。会計ソフトへの入力を自社で続けるか、記帳代行を別に頼むか、どちらかを選ぶことになります。
同じように外れやすいのが、決算と近い時期に来る仕事です。役員や従業員に給与を払っていれば年末調整があり、法定調書と給与支払報告書の提出が続きます。機械や器具を持っていれば、償却資産の申告を、資産のある自治体へ毎年1月に出します。そして年度の途中の相談。決算だけを切り出して頼むと、これらは自社の側に残ります。
法人が役員に払う給与は、決まった形で払わないと、税金の計算のうえで経費(損金)になりません。認められる形は三つあり、定期同額給与・事前確定届出給与・一定の業績連動給与といいます。社長が一人の会社で使うのは、ほとんどが定期同額給与です。毎月同じ額を払う形にしておくと、その支給額が損金になります。
金額を変えられる時期は決まっています。その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月を経過する日までにした改定であれば、変更後の額で定期同額給与として扱われます。この日を、原文では「3月経過日等」と呼びます。この日を過ぎてからの改定でこの扱いを受けられるのは、二つの場合だけです。役員の地位や職務の内容が大きく変わった場合(臨時改定事由)と、経営状況が著しく悪化した場合(業績悪化改定事由)です。業績悪化のほうには、法人の一時的な資金繰りの都合や、単に業績目標値に達しなかったことは含まれないと明記されています。
この期限は、決算の作業と重なります。法人税の申告書の提出期限は、事業年度が終わった日の翌日から2か月です。前期の決算が仕上がるころには、新しい年度が始まって2か月が過ぎています。役員報酬を決められるのは、残り1か月です。前期の結果を見てから今期の役員報酬を決めたい場合、この1か月のあいだに判断することになります。
役員に賞与を出すには、事前確定届出給与に関する届出書を先に出しておく必要があります。届出の期限は、株主総会等の決議によりその定めをした日から1か月を経過する日と、その会計期間開始の日から4か月を経過する日の、いずれか早い日です。設立したばかりの法人が、設立の時に開始する職務についてその定めをした場合は、設立の日以後2か月を経過する日までとなります。
届出が要らない場合も定められています。そこに挙がっているのは「定期給与を支給しない役員に対して同族会社に該当しない法人が支給する金銭による給与」などです。株式を社長が一人で持っている会社は、法人税法上の同族会社にあたります。同族会社は、この届出を省ける対象に入りません。一人社長の会社で賞与を出すなら、この届出を先に出しておくことになります。
この届出の期限も、会計期間が始まってから4か月です。前期の申告を出したすぐあとが、届出を出すかどうかを考える時期にあたります。
税理士報酬に定価はありません。金額は、売上の規模、仕訳の件数、面談の頻度、従業員の人数で動きます。次の表は目安として見てください。決算・申告だけをスポットで頼む形は、会計データが仕上がっていることを前提にした価格になっているのが一般的です。
法人が税理士に払う費用の目安小規模法人(一人社長・マイクロ法人を含む)
| 月額顧問料 | 月3万円〜5万円 |
| 決算・申告料(顧問契約がある場合。顧問料とは別途) | 月額顧問料の4か月分〜6か月分 |
| 決算・申告だけをスポットで依頼する場合(記帳は自社) | 年15万円〜25万円 |
| 記帳代行(顧問料には含まれないのが一般的) | 月6,000円〜40,000円 |
| 税務調査の立会い(別料金) | 30万円〜 |
一つ目は、記帳をどちらがやるかです。同じ「決算のみ」でも、引き受けている仕事は違います。会計ソフトへの入力が終わったデータを受け取る前提のものと、領収書と通帳の写しを預かって入力から行うものがあります。安い価格帯は前者を前提にしていることが多く、後者を頼めば記帳代行の費用が別に乗ります。
二つ目は、決算と同じ時期に来る仕事が入っているかどうかです。消費税の申告、年末調整、法定調書と給与支払報告書、償却資産の申告。これらを別料金にしている事務所もあれば、まとめた金額を出す事務所もあります。
三つ目は、年度の途中に質問できるかどうかです。回数に上限があるのか、メールだけか、面談もあるのか。役員報酬や設備投資のように、決められる時期が定まっているものは、決算のときに聞いても間に合いません。
金額だけを横に並べても、比べたことになりません。対応範囲を書き出して、同じ範囲どうしで突き合わせてください。
二一次情報
法人税法 第74条(確定申告)(抜粋)
第七十四条 内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から二月以内に、税務署長に対し、確定した決算に基づき次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。
一 当該事業年度の課税標準である所得の金額又は欠損金額
二 前号に掲げる所得の金額につき前節(税額の計算)の規定を適用して計算した法人税の額
3 第一項の規定による申告書には、当該事業年度の貸借対照表、損益計算書その他の財務省令で定める書類を添付しなければならない。
法人税法 第126条(青色申告法人の帳簿書類)(抜粋)
第百二十六条 第百二十一条第一項(青色申告)の承認を受けている内国法人は、財務省令で定めるところにより、帳簿書類を備え付けてこれにその取引を記録し、かつ、当該帳簿書類を保存しなければならない。
2 納税地の所轄税務署長は、必要があると認めるときは、第百二十一条第一項の承認を受けている内国法人に対し、前項に規定する帳簿書類について必要な指示をすることができる。
国税庁 タックスアンサー No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)(抜粋)
法人が役員に対して支給する給与(注)の額のうち次に掲げる定期同額給与、事前確定届出給与または一定の業績連動給与のいずれにも該当しないものの額は損金の額に算入されません。
定期同額給与
定期同額給与とは、次に掲げる給与です。
1 その支給時期が1か月以下の一定の期間ごとである給与(以下「定期給与」といいます。)で、その事業年度の各支給時期における支給額または支給額から源泉税等の額(注)を控除した金額が同額であるもの
2 定期給与の額につき、次に掲げる改定(以下「給与改定」といいます。)がされた場合におけるその事業年度開始の日または給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日またはその事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額または支給額から源泉税等の額を控除した金額が同額であるもの
(1) その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月(確定申告書の提出期限の特例に係る税務署長の指定を受けた場合にはその指定に係る月数に2を加えた月数)を経過する日(以下「3月経過日等」といいます。)まで(継続して毎年所定の時期にされる定期給与の額の改定で、その改訂が3月経過日等後にされることについて特別の事情があると認められる場合にはその改訂の時期まで)にされる定期給与の額の改定
(2) その事業年度においてその法人の役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情(以下「臨時改定事由」といいます。)によりされたこれらの役員に係る定期給与の額の改定(上記(1)に掲げる改定を除きます。)
(3) その事業年度においてその法人の経営状況が著しく悪化したことその他これに類する理由(注)(以下「業績悪化改定事由」といいます。)によりされた定期給与の額の改定(その定期給与の額を減額した改定に限られ、上記(1)および(2)に掲げる改定を除きます。)
(注) 法人の一時的な資金繰りの都合や、単に業績目標値に達しなかったことなどはこれに含まれません。
事前確定届出給与
1 その給与が次のいずれにも該当しない場合 事前確定届出給与に関する届出をしていること。
(1) 定期給与を支給しない役員に対して同族会社に該当しない法人が支給する金銭による給与
(2) 株式または新株予約権による給与で、将来の役務の提供に係る一定のもの
(注1) (1)または(2)に該当する給与については、事前確定届出給与に関する届出は必要ありません。
事前確定届出給与に関する届出期限
事前確定届出給与に関する定めをした場合は、原則として、次の(1)または(2)のうちいずれか早い日(新設法人がその役員のその設立の時に開始する職務についてその定めをした場合にはその設立の日以後2か月を経過する日)までに所定の届出書を提出する必要があります。
(1) 株主総会等の決議によりその定めをした場合におけるその決議をした日(その決議をした日が職務の執行を開始する日後である場合にはその開始する日)から1か月を経過する日
(2) その会計期間開始の日から4か月(確定申告書の提出期限の延長の特例に係る税務署長の指定を受けている法人のうち、一定の通算法人については5か月、それ以外の法人についてはその指定に係る月数に3を加えた月数)を経過する日
※引用は原文のままです。読みやすさのため改行位置を調整し、一部を抜粋している箇所があります(編集・加工を行った部分)。最新の内容は必ず出典元のページでご確認ください。
三法人の場合
個人事業主が申告だけを依頼する場合、依頼の範囲から外れるのは、おおむね記帳です。法人では、そこに期限のある判断が加わります。役員報酬を決められるのは事業年度が始まってから3か月以内で、賞与を出すなら届出にも別の期限があります。前期の申告を出すのは、事業年度が始まって2か月目です。これらの期限のすぐ手前で税理士と会いながら、今期をどうするかの相談は「決算のみ」の範囲に入っていません。
もう一つは、記帳が自社に残ることの意味です。青色申告の承認は、帳簿書類の備付け・記録・保存が定めに従って行われていることを条件にしています。入力を自社で続けるということは、この条件を自社で担保するということでもあります。決算のときに1年分をまとめて入力する進め方だと、作業を始めてから資料の不足が見つかり、申告期限までの2か月が短くなります。月ごとに区切って入力しておくと、決算の作業は残高の確認から始められます。
見積もりを比べるときは、金額の隣に対応範囲を並べてください。同じ「決算のみ」でも、会計データが仕上がっている前提のものと、領収書の束から預かるものとでは、やっている仕事が違います。安さの理由が価格表に書かれていないときは、記帳と年末調整と年度の途中の相談の三つがどちら持ちかを、見積もりの段階で確かめておくと、あとから追加になりません。
※実際の取扱いは業態・契約・実態により異なります。個別の判断は税理士または所轄税務署にご確認ください。
四相談先
ここまでの線引きは、実際の契約や業務の実態によって結論が変わります。判断がつかない支出がある、金額が大きい、過去分もさかのぼって直したいといった場合は、早めに専門家に確認したほうが結果的に安く済みます。依頼先の探し方は大きく 2 通りあります。

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