法人の確定申告 Q&A
お答えします
できます。法人税の申告書は、税理士に頼まずに自分で作成して提出できます。ただ、会計ソフトが作ってくれるのは決算書までで、そこから先の税務調整は別表という書類で組みます。申告先も税務署だけで終わらず、法人事業税は都道府県へ、法人住民税は都道府県と市町村へそれぞれ出します。そして青色申告の承認には帳簿書類の備付け・記録・保存という条件が付いていますので、そこを自分で担保できるかが分かれ目になります。
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一解説
会計ソフトに仕訳を入れていくと、貸借対照表と損益計算書ができあがります。ここまでが会計の仕事です。会計の利益と、法人税がかかる金額は同じになりません。税務上の決まりに合わせて、利益に加算と減算をします。こうして計算した金額を所得金額といい、法人税はこの所得金額にかかります。加算と減算を書き表すのが、別表と呼ばれる一群の書類です。
中心になるのは別表四です。損益計算書の当期純利益から出発して、損金にならない支出を足し戻し、益金にならない収入を差し引いて、所得金額を出します。もう一つ押さえておきたいのが別表五(一)で、こちらは税務上の純資産を翌期へ繰り越す表です。翌期の別表五(一)は前期の残高から始まりますので、初年度の記載を誤ると、その誤りは翌期以降にも引き継がれます。会計ソフトの残高だけを見ていても、この誤りには気づけません。
申告書には、その事業年度の貸借対照表、損益計算書その他の財務省令で定める書類を添付しなければならないと定められています。法人の申告では、決算書のほかに別表も作ります。決算書だけでは申告書になりません。
個人の確定申告は、税務署へ出せば終わります。法人は、3か所に出します。
法人税と地方法人税、令和8年4月1日以後に開始する事業年度からは防衛特別法人税、それに消費税を納める法人なら消費税の申告書は、納税地の所轄税務署へ。法人事業税と特別法人事業税、そして道府県民税は都道府県へ。市町村民税は市町村へ出します。事務所を複数の自治体に置いていれば、その数だけ地方税の申告先が増えます。
入口も分かれていて、国税は e-Tax、地方税は eLTAX を使います。様式も別で、それぞれに提出期限があります。東京23区内に事務所がある場合は、市町村民税にあたる分もあわせて都税事務所へ申告します。
期限そのものは、法人税の申告書について、各事業年度終了の日の翌日から2か月以内と定められています。決算の作業と、3か所ぶんの申告書の作成を、この2か月に収めます。はじめての決算では、様式を探すところから始まりますので、決算日が来る前に一度、各申告先の案内に目を通しておくと動きやすくなります。
青色申告の承認を受けている法人は、財務省令で定めるところにより帳簿書類を備え付けてこれにその取引を記録し、かつ、その帳簿書類を保存しなければなりません。この備付け・記録・保存が定めに従って行われていないとき、税務署長はその事業年度まで遡って承認を取り消すことができます。取消しの理由は、このほかに三つあります。帳簿書類について税務署長の指示に従わなかったこと。帳簿書類に取引の隠蔽や仮装があること。そして、確定申告書を提出期限までに出さなかったことです。
ただし、国税庁の事務運営指針が、取消しの進め方を定めています。事実とその程度、記帳の状況、改善の見込みなどをあわせて考えたうえで、真に青色申告書を提出するにふさわしくない場合に行う、という内容です。期限に間に合わなかったことによる取消しには、さらに具体的な基準があります。2事業年度続けて期限内に申告書が出されなかった場合に取り消す、という基準です。取り消される範囲は、その2事業年度目以後の事業年度になります。
あわせて読んでおきたいのが、帳簿書類の備付け等には「税務職員に提示すること」が含まれる、という部分です。帳簿を作ってあっても、調査の際に提示を拒めば取消事由に当たると明記されています。自分で記帳するというのは、いつでも見せられる状態で持っておくということでもあります。
承認が取り消されると、赤字の繰越しが使えなくなります。繰越控除の対象になるのは、青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金額だからです。設立から数年は赤字が続く会社にとって、この繰越しは黒字になった年の税額を下げる仕組みです。承認を取り消されると、その分の税金を納めることになります。なお、欠損金額が生じた事業年度に青色申告書を出していれば、その後の事業年度の申告書が白色申告書であっても、その欠損金額については繰越控除が適用されます。
「全部を自分でやる」と「丸ごと頼む」の間には、いくつかの形があります。記帳は自社でやって申告書だけを頼む、設立の年だけ頼んで型を教わる、事業年度の初めに役員報酬を決めるときだけ相談する。決算のみの依頼も、この中の一つです。
自分でやると決めるなら、先に置いておきたいものが三つあります。一つ目は期日です。申告と納付の期限、役員報酬を決められる期間、届出の期限、地方税それぞれの期限を、決算日から数えてカレンダーに入れておきます。二つ目は帳簿の置き場所です。帳簿と書類は、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間の保存が求められます。青色申告書を提出した事業年度で欠損金額が生じた事業年度については、10年間です。置き場所と方法を先に決めてください。三つ目は、判断が要る場面の洗い出しです。役員報酬、消費税の課税事業者の選択や簡易課税、減価償却の方法、貸倒れ、決算賞与。これらは期限や書類の要件とセットになっていて、あとからさかのぼって整えることができません。
迷う論点が出てきたときに、その一点だけ相談できる相手を先に決めておくと、期限に追われながら判断せずに済みます。
二一次情報
法人税法 第74条(確定申告)(抜粋)
第七十四条 内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から二月以内に、税務署長に対し、確定した決算に基づき次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。
一 当該事業年度の課税標準である所得の金額又は欠損金額
二 前号に掲げる所得の金額につき前節(税額の計算)の規定を適用して計算した法人税の額
3 第一項の規定による申告書には、当該事業年度の貸借対照表、損益計算書その他の財務省令で定める書類を添付しなければならない。
法人税法 第126条(青色申告法人の帳簿書類)(抜粋)
第百二十六条 第百二十一条第一項(青色申告)の承認を受けている内国法人は、財務省令で定めるところにより、帳簿書類を備え付けてこれにその取引を記録し、かつ、当該帳簿書類を保存しなければならない。
2 納税地の所轄税務署長は、必要があると認めるときは、第百二十一条第一項の承認を受けている内国法人に対し、前項に規定する帳簿書類について必要な指示をすることができる。
法人税法 第127条(青色申告の承認の取消し)(抜粋)
第百二十七条 第百二十一条第一項(青色申告)の承認を受けた内国法人につき次の各号のいずれかに該当する事実がある場合には、納税地の所轄税務署長は、当該各号に定める事業年度まで遡つて、その承認を取り消すことができる。この場合において、その取消しがあつたときは、当該事業年度開始の日以後その内国法人が提出したその承認に係る青色申告書(納付すべき義務が同日前に成立した法人税に係るものを除く。)は、青色申告書以外の申告書とみなす。
一 その事業年度に係る帳簿書類の備付け、記録又は保存が前条第一項に規定する財務省令で定めるところに従つて行われていないこと 当該事業年度
二 その事業年度に係る帳簿書類について前条第二項の規定による税務署長の指示に従わなかつたこと 当該事業年度
三 その事業年度に係る帳簿書類に取引の全部又は一部を隠蔽し又は仮装して記載し又は記録し、その他その記載又は記録をした事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当の理由があること 当該事業年度
四 第七十四条第一項(確定申告)の規定による申告書をその提出期限までに提出しなかつたこと 当該申告書に係る事業年度
2 税務署長は、前項の規定による取消しの処分をする場合には、同項の内国法人に対し、書面によりその旨を通知する。この場合において、その書面には、その取消しの処分の基因となつた事実が同項各号のいずれに該当するかを付記しなければならない。
国税庁 事務運営指針「法人の青色申告の承認の取消しについて」(平成12年7月3日課法2-10ほか3課共同・令和8年6月30日改正)(抜粋)
(趣旨)
法人の青色申告の承認の取消しは、法第127条第1項各号に掲げる事実及びその程度、記帳状況、改善可能性等を総合勘案の上、真に青色申告書を提出するにふさわしくない場合について行うこととし、この場合の取扱基準の整備等を図ったものである。
1 帳簿書類を提示しない場合における青色申告の承認の取消し
(1) 法第127条第1項第1号に規定する帳簿書類の備付け、記録又は保存(以下「帳簿書類の備付け等」という。)とは、単に物理的に帳簿書類が存在することのみを意味するにとどまらず、これを税務職員に提示することを含むものである。したがって、税務調査に当たり帳簿書類の提示を求めたにもかかわらず調査対象者である法人がその提示を拒否した場合には、当該拒否は同号に規定する青色申告の承認の取消事由に該当することになり、その提示がされなかった事業年度のうち最も古い事業年度以後の事業年度について、その承認を取り消す。
4 無申告又は期限後申告の場合における青色申告の承認の取消し
法第127条第1項第4号の規定による取消しは、2事業年度連続してその提出期限内に法第74条第1項の規定による申告書の提出がない場合に行うものとする。この場合、当該2事業年度目の事業年度以後の事業年度について、その承認を取り消す。
国税庁 タックスアンサー No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除(抜粋)
確定申告書を提出する法人の各事業年度開始の日前10年(注)以内に開始した事業年度で青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金額は、各事業年度の所得金額の計算上損金の額に算入されます。
(注) 平成30年4月1日前に開始した事業年度において生じた欠損金額の繰越期間は9年です。
欠損金の繰越控除をする法人は、欠損金額が生じた事業年度において青色申告書である確定申告書を提出し、かつ、その後の各事業年度について連続して確定申告書を提出している法人です。
欠損金額が生じた事業年度において青色申告書である確定申告書を提出していれば、その後の事業年度について提出した確定申告書が白色申告書であっても、その欠損金額についてはこの繰越控除の規定が適用されます。
国税庁 タックスアンサー No.5930 帳簿書類等の保存期間(抜粋)
法人は、帳簿(注1)を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成または受領した書類(注2)を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間(注3)保存しなければなりません。
(注1) 「帳簿」には、例えば総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などがあります。
(注2) 「書類」には、例えば棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などがあります。
(注3) 青色申告書を提出した事業年度で欠損金額(青色繰越欠損金)が生じた事業年度または青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失金額が生じた事業年度においては、10年間(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年間)となります。
※引用は原文のままです。読みやすさのため改行位置を調整し、一部を抜粋している箇所があります(編集・加工を行った部分)。最新の内容は必ず出典元のページでご確認ください。
三法人の場合
個人の確定申告は、会計ソフトが作った青色申告決算書に、控除の情報を足せば申告書の形になります。法人は、決算書ができてからの作業が残ります。決算書をもとに別表で税務上の調整をして、税務署・都道府県・市町村へ、それぞれの様式で出します。会計ソフトを使えるかどうかより、この別表を自分で作れるかどうかが、自分でやれるかどうかの分かれ目になります。
もう一つ、個人と違うのが、青色申告の承認の重さです。個人の青色申告特別控除は、取り消されればその控除がなくなります。法人の青色申告は、赤字の繰越しという別の仕組みにつながっています。設立から数年で黒字と赤字を行き来する会社ほど、承認を維持できるかどうかで納める税金が変わります。承認は、帳簿を作ってあることではなく、備付け・記録・保存が定めに従って行われていることを条件にしています。
はじめての決算を自分でやるなら、第1期は比較的組みやすい時期です。前期から引き継ぐ残高がないぶん、別表五(一)の記載も単純になります。第2期からは前期の数字を引き継ぎますので、第1期の申告書の控えは、決算書と同じ場所に保存しておいてください。
※実際の取扱いは業態・契約・実態により異なります。個別の判断は税理士または所轄税務署にご確認ください。
四相談先
ここまでの線引きは、実際の契約や業務の実態によって結論が変わります。判断がつかない支出がある、金額が大きい、過去分もさかのぼって直したいといった場合は、早めに専門家に確認したほうが結果的に安く済みます。依頼先の探し方は大きく 2 通りあります。

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