法人の確定申告 Q&A
お答えします
法人の交際費等は原則として全額が損金不算入で、そこに例外の枠が設けられている、という構造です。1人あたり10,000円以下の飲食費は、一定の事項を記載した書類を保存していれば交際費等から除かれます。中小法人は、年800万円までの定額控除か、飲食費の50パーセント控除かを選べます。
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一解説
個人事業主の必要経費とは出発点が逆です。国税庁は、交際費等の額は原則として、その全額が損金不算入とされていると示したうえで、法人の区分に応じた一定の措置を置いています。
交際費等とは、交際費・接待費・機密費その他の費用で、法人がその得意先、仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいいます。相手方が得意先に限られない点が要注意です。
ですから法人の実務は、「経費になるか」ではなく「交際費等に該当するか、しないか」を先に判断する形になります。該当しなければ交際費等の損金不算入の対象から外れ、該当すれば枠の中でしか引けません。ここが個人事業主との最大の違いです。
もっとも使う場面が多いのが、飲食費の除外です。飲食その他これに類する行為のために要する費用のうち、支出した金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が10,000円以下であるものは、交際費等から除かれます(専ら役員・従業員やその親族に対する接待等のために支出するものを除きます)。令和6年3月31日以前に支出された飲食等に係る費用については、基準金額は5,000円以下です。
ただしこれは書類の保存が条件です。飲食等のあった年月日、参加した得意先等の氏名または名称とその関係、参加した者の数、費用の額と飲食店等の名称・所在地、その他必要な事項を記載した書類を保存している場合に限り適用されます。領収書だけでは足りません。
このほか、専ら従業員の慰安のために行われる運動会・演芸会・旅行などのために通常要する費用、カレンダーや手帳などの贈答に通常要する費用、会議に関連して供与する茶菓・弁当などの費用、取材に通常要する費用も交際費等から除かれます。なお金額基準の判定や交際費等の額の計算は、その法人が採用している消費税等の経理処理による価額で行いますので、税込経理の会社は10,000円の判定も税込金額で行うことになります。
交際費等に該当しないと整理できれば枠の外に出ますから、隣接する費目との区分が、損金にできる金額を決めます。
福利厚生費との境目は、支出の相手と一律性です。専ら従業員の慰安のために行われる運動会・演芸会・旅行などのために通常要する費用は交際費等から除かれます。加えて、創立記念日、国民の祝日、新社屋の落成式などに際し、従業員等におおむね一律に、社内において供与される通常の飲食に要する費用や、結婚祝・出産祝・香典・病気見舞いのように一定の基準に従って支給される金品も福利厚生費です。「いつ」「どこで」「誰に」「どの程度」の四つが原文に書き込まれていますので、一部の役員だけを対象にした支出や、基準のない場当たりの支給はこの枠から外れます。
会議費との境目は、会議の実態があるかどうかです。会議に関連して供与する茶菓・弁当などの通常要する費用は交際費等になりません。
交際費等に該当した分は、法人の規模に応じた枠の中で処理します。期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下である等の法人は、①交際費等のうち飲食費(専ら役員・従業員等に対するものを除く)の50パーセントを超える部分、②年800万円(事業年度の月数按分)を超える部分、のいずれかを損金不算入額として選べます。①は飲食費だけが対象、②は飲食費以外の交際費等も含めた全体が対象ですので、飲食費が定額控除限度額の2倍に達するまでは②のほうが損金算入額は大きくなります。
これに対し、期末の資本金の額または出資金の額が100億円を超える法人は全額が損金不算入、その中間の法人は①の計算になります。資本金5億円以上の法人の100パーセント子法人などは、資本金1億円以下でも中小法人の枠を使えません。
最後に記録です。10,000円以下の飲食費の除外は、前述の記載事項を備えた書類の保存が要件ですから、領収書の裏に「◯◯商事 田中様ほか2名/新規案件の打合せ」と書く習慣をつけるだけで、損金にできる金額が変わります。人数で割った金額が基準ですので、参加人数を書き漏らすと判定そのものができなくなります。
二一次情報
国税庁 タックスアンサー No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算(抜粋)
交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」といいます。)のために支出するものをいいます。
1 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
2 飲食その他これに類する行為(以下「飲食等」といいます。)のために要する費用(専らその法人の役員もしくは従業員またはこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除きます。)であって、その支出する金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が10,000円以下である費用(注)
(注)令和6年3月31日以前に支出された飲食等に係る費用についての基準金額は、5,000円以下になります。
交際費等の額は、原則として、その全額が損金不算入とされていますが、損金不算入額の計算に当たっては、下記の法人の区分に応じ、一定の措置が設けられています。
期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下である等の法人(注)
1 交際費等の額のうち、飲食その他これに類する行為のために要する費用(専らその法人の役員もしくは従業員またはこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除きます。)の50パーセントに相当する金額を超える部分の金額
2 損金不算入額は、上記の「概要」の交際費等の額のうち、800万円にその事業年度の月数を乗じ、これを12で除して計算した金額(定額控除限度額)を超える部分の金額
(注) 法人税法第66条第5項第2号もしくは第3号に規定する法人(資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人の100パーセント子法人等)または租税特別措置法第61条の4第2項第2号に規定する法人(通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人のうちいずれかの法人の資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人である場合におけるその通算法人など)の損金不算入額は、上記の「期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下である等の法人」ではなく、下記の「上記以外の法人」により計算します。
1 期末の資本金の額または出資金の額が100億円を超える法人(注)
損金不算入額は、支出する交際費等の額の全額となります。
損金不算入額は、上記の「期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下である等の法人」の1の金額となります。
国税庁 タックスアンサー No.5261 交際費等と福利厚生費との区分(抜粋)
ただし、専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行などのために通常要する費用については交際費等から除かれ、福利厚生費などとされます。
また、社内の行事に際して支出される金額などで、次のようなものは福利厚生費となります。
1 創立記念日、国民の祝日、新社屋の落成式などに際し、従業員等におおむね一律に、社内において供与される通常の飲食に要する費用
2 従業員等(従業員等であった者を含みます。)またはその親族等のお祝いやご不幸などに際して、一定の基準に従って支給される金品に要する費用(例えば、結婚祝、出産祝、香典、病気見舞いなどがこれに当たります。)
※引用は原文のままです。読みやすさのため改行位置を調整し、一部を抜粋している箇所があります(編集・加工を行った部分)。最新の内容は必ず出典元のページでご確認ください。
三法人の場合
個人事業主の感覚のまま「事業のための飲食だから経費」と考えると、法人では通りません。交際費等はまず全額が損金にならない——この向きを逆に覚えていると、決算で思わぬ税額が出ます。
実務でいちばん出番が多いのは10,000円基準です。同じ会食でも、1人あたり10,000円以下で、かつ参加者の氏名と関係を記載した書類を保存していれば交際費等から外れ、どちらかを欠けば交際費等として枠の中——一件ごとの差は小さくても、年間で積み上がると損金不算入額が大きく変わります。金額と書類の両方が要件である点に注意してください。経理に回す前に、その場で領収書へ一行書く。それだけで足ります。
社内向けの支出も扱いが分かれます。役員だけの飲食は10,000円以下でも除外の対象になりませんが、創立記念日などに際して従業員等へおおむね一律に社内で供与される通常の飲食であれば福利厚生費です。社内規程を整えておくと判断が安定します。なお資本金1億円以下でも、資本金5億円以上の法人の100パーセント子会社などは中小法人の枠を使えません。グループ会社をお持ちの場合は、資本関係の確認から始めてください。
※実際の取扱いは業態・契約・実態により異なります。個別の判断は税理士または所轄税務署にご確認ください。
四相談先
ここまでの線引きは、実際の契約や業務の実態によって結論が変わります。 判断がつかない支出がある、金額が大きい、過去分もさかのぼって直したい——そうした場合は、早めに専門家に確認したほうが結果的に安く済みます。 依頼先の探し方は大きく 2 通りあります。
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